あまりに衝撃的な知らせであった。クリス・ベノアの死。死体が見つかったのはアメリカ現地の月曜日のこと。状況から判断する限り、奥さんと子どもを殺害しその後自殺したとみられるそうだ。
 彼に何があったのかは想像してもけして答えが見えてくるわけではない。しかし、何が起きたら自分の妻と子どもを殺すという事態に陥るのであろう。

 クリス・ベノアはアメリカンプロレスの世界においてはどちらかというと小兵である。体格的に恵まれている分けではな彼は、しかし抜群のテクニックと努力を積み重ねることで、いつしか自分の存在を周りに認めさせた。その結果、レッスルマニア20という最高の舞台で、世界王座という最高のタイトルを獲得。もっとも努力する人が最も報われた瞬間だったと思う。少なくとも当時、アレほどたくさんのレスラーに戴冠を喜ばれた人は彼以外にいなかっただろう。

 努力の人と家族殺害、どうしてもこの二つが自分の中で繋がらなかった。いくら話を聞いても、何かの間違いではないかという気持ちが浮かんでくるのである。

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